妖精おじさん日記 11月13日版

2023.11.15

お届けする商品に同梱している日々更新「福太郎通信」のデジタル版。
今回は11月13日版です!

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「きえたしましまくん その2」

こんにちは!
毎日更新の福太郎通信、どの日の号が同封されているかはランダムなのに、
今回は続きもの……、昨日の続きです(初の試み!)。

自分の中で消化しきれなくて…………
すみません! この号だけ読んでも、いい感じになるように書きたいと思います。

今年の春に生物の先生にいただいた海水魚くんたちの中で、唯一生き残っていた魚が一匹いまして、
その魚には縞模様があり、しましまくんと呼んでいました
(しましま君に呼びかけもしたし、一緒にお世話してくれるスタッフとも「しましまくん今日はげんきですね」など、
すっかりなまえが定着していた)。

うちにやってきた春の時より、からだが倍くらい大きくなっても、
その後やってきた小さい魚やエビなどの生き物たちに、いかく行動は一切せず、
自由にひらひらと泳いでいたしましまくん。
前の日までエサをあげるとすぐに水面に顔を出して、いつも通りの感じだったのに
次の日の朝、水槽の中のどこにもしましまくんの姿はなく、しましまくんは消えてしまいました。

亡くなったとしても、普通はちょっと亡骸らしいものが見当たるのですが
(今まで亡くなったお魚たちはそうでした)、どこにもいない。
水槽の蓋はしてあるし、カニやエビが亡骸をお掃除したとしても、
あれだけ大きなからだを跡形もなく掃除できるだろうか?

だからぼくにとっては亡くなった、というよりは消えてしまった、という感じ。

しましまくん、どこ行ったん!?

翌る日の朝
もしかしたらしましまくんが出てくるかも、と少しは期待して
魚たちの水槽に行くも、やっぱり姿はない……。

しましまくんがいないと、どうしてもテンションがあがらない。

ごめん! 他の魚さん、エビ、カニ、
ハゼくん(ハゼくんはしましまくんと一番古い付き合い。縄張り意識の強いパワーくんという
攻撃性の強い魚からお互いサバイブした仲間)。

自分にとって、この水槽は、しましまくん中心の世界だったんだな、と気づく。
水槽は世界の縮図。
世界をしましまくんが楽しめるようにつくった。
他の生き物はしましまくんが楽しめるように入ってもらったんだと思う

それじゃ他の生き物たちに、ほんとうに申し訳ないんだけれど、
どうしてもテンションが上がらんのよ。
一緒に世話をしてくれたスタッフのもっちぃーが
「いちばんかわいがっていたしましまくんが、なきがらの姿を見せないのは、
さいごまでやさしいお魚さんでしたね」みたいなことを言ってくれた。
みれいさんは「違う次元に旅立ったんだよ」と言っていた。

昨日は『長い道』宮崎かづゑさん、『点子ちゃんとアントン』ケストナー、
2冊を読み終えた。
『長い道』では、感動して、何度も涙があふれた。
さいごに辰巳芳子さんと著者の対談が載っていて、
辰巳さんが「第一章は類をみないすごい文章、あの文章を読んで、
みんな”生きる”こと”命”ということの答えを見出すのではないか。
ものすごく解放感のある文章」ということをおっしゃっていて、なんてすごいこと言うんだ!
と思った。
たしかに、この本を読んで、自分の中の変化はすごい、と感じる。
そして、この本を読んでいるときに、しましまくんがいなったから、
よけいにつよく目の前の景色が変わりだしたのかもしれない、と思った。


(mmbs 福太郎)